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2012年5月

2012年5月10日 (木)

第三章 黄泉からの帰還 No.50

No.50

アサビコの一行はコントンボリを先頭に、次の日には白い象の国を通過した、ここで象の王から移動する幻の湖の位置を聞いた。

白い象の王は自らの背に一行を乗せて水先案内しようと言ってくれた。巨大な逆さバオバブの林立する地帯を横目に、三重塔の屋根ほどの高さも在る巨象の背に揺られ、アサビコらは砂漠に入った。

「これは絶景じゃわい!だが、この辺りに人は住んでおらん。昔、ミタクアという町があったが今はもう無い、何処かに町ごと消えたと聞いた。何度かワシは来たことがあるが、湖など無いはずじゃ。」長老は眺めすかして言った。

象の王はこう言った、

「ははは、人間には分かるまい。日暮れてライオンの背を三つ越したら、月の後を追う。そこに幻の湖があるはずだ。ミタクアはあるとき黄泉に埋没した。」

2012年5月 4日 (金)

大賢者 第三章 黄泉からの帰還 No.49

大賢者 第三章 黄泉からの帰還 No.49

アサビコはアマナから貰った袋を握りしめた。もしアマナが本当に姉だとしたら、なんと云う数奇な運命なのだろう。アサビコは居ても立ってもいられない気持ちになった。人の運命は、何者かが決定づけているのだろうか?

「おい、アサビコ君、人生のお悩み中悪いが、のんびりもしていられない。黄泉の入り口迄まだまだだ、幻の湖を渡らなければならない!君たちを置いて行くのは簡単だが、俺にしても使命もまっとうしなければ、ボーリの眷属として面目も無い。

出発するぞ!」

コントンボリは、げんきんにも、チョコで元気いっぱいになっていた。

「コントンボリよ、その意気だ。アサビコ、ひとまずもこの危険な黄泉の旅から戻らねば、何も始まらずに終わりじゃ。アントワーヌやジジらの命が、すべてお前さんに掛かっている!急ごう、死の国黄泉へ。」長老も立ち上がった。

「幻の湖?このサバンナと砂漠にか?」

木琴を担いだジョロボは目玉を丸くして苦笑いした。

「そのとおり、君たち庶民はそこを通過せねば黄泉には入れぬ。入り口は俺しかわからぬ。まずは、白い象の国から、古い逆さバオバブを抜ける道のりを急がねばならない。」

2012年5月 3日 (木)

大賢者 第二章 生まれ変わりの印 No.48

No.48

「ところでアサビコ、お前さん、どこの国から来たのじゃ?」サラガウラが聞いた。

「話せば数奇なことながら姉ともども人買いに買われ、その手をのがれのがれ姉とも離ればなれとなり、、船を乗り継ぎ、俺独りついにこのアフリカにやって来ました。俺の祖国は東洋の日本という国です。」

「ほう、アマナもはっきりと顔は見せぬが東洋人のようにも見える…。ひょっとするとお前さんの姉かもしれぬぞ。いや、ワシはごく側で、お前さんの様な遠い異国の言葉を聞いた迄のこと、期待はしない方がよい。

それはさておき、もう出発せねばなるまいの。」

「え!アマナが?…姉は…、天苗です!天苗、アマナ!…。姉さん!?

俺は、ここまで三年かかった、それに恐ろしく遠い旅路でした。そうであれば…、どんなにか…姉さん…、そんなことが有るだろうか?」

「残念じゃが、アマナは目も見えぬし、声もほとんど出ない。過去は誰も知らない。それに昔の記憶も無いらしい。もしお前さんの姉であったとしても、分かるかどうか難しいことじゃな。」

2012年5月 1日 (火)

大賢者 第二章 生まれ変わりの印 No.47

No.47

アサビコは笑いながら一欠片折ると、コントンボリの口に放り込んだ。

「アサビコ君!きみはなんと優しい少年だろう!ムニョムニョ。ああ、至福とはこのことよ!ムニュムニュ。」コントンボリは、なれなれしくアサビコの肩に手を回し、身を反らせた。

「木琴を弾こう。」ジョロボは、ふわふわとした青い光が近づいてくるのを見て言った。たまに飛び上がった光はくるくると廻った。

すぐ近く迄きて、光の行列はしばし留まり、演奏に聴き入るように、止まっては、またくるくると廻った。

「こんばんわ。いつ聴いても魂を奪われる音色ですね。お陰さまで、花嫁の良い門出となりました。こんな幸先の良い出会いがあるとはうれしいかぎりです。それに今夜は吉日で、いい月夜で、私どもは心を洗われる思いです。。黄泉に向かわれるなら、お土産を付けましょう。」青い光は、そう言うと、くるくるとまた廻った。行列の立ち去った後には、葉っぱに包まれたフフという餅が人数分在った。

「祝い餅じゃ、有難い!これが在ればいいぞ。」長老が言った。

「どうして?サラガウラ」アサビコが聞き返した。

「ははは、狐の祝い餅は腹持ちがいい、七日は持つからじゃ。」

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