フォト
無料ブログはココログ

« 第三章 黄泉からの帰還 No.51 | トップページ | 第三章 黄泉からの帰還 No.53 »

2012年9月 2日 (日)

第三章 黄泉からの帰還 No.52

ジョロボは木琴を弾いた。これから起こることの前奏曲というべきか、むしろ、予兆に満ちた黄泉への奏上というべきか。静かに流れるエレジー風の調べに湖に何かが行き渡るのが見えた。それは普段は見えぬ魂の飛行の軌跡だった。無数の軌跡はさざなみのように木琴の調べに震えていた。
 「ジョロボ、貴様の妙なる調べに死者の魂は感極まったようだぞ。見ろ、オパールのような色を!生きているうちには、だれも目の前の現実にしか反応できぬ人生の、あれが軌跡だ。」コントンボリが言った。
 「あの光は人の人生か!その軌跡が光っておるのか…。」長老は嘆息した。
 「美しいものだ…、苦しみも喜びも、善も悪もあのように尾を引くとな。」白い象が言った。
 「人は死んでも軌跡は残ってるのですね。」アサビコが言った。
 「そうだ、この事実を貴様達人間は知らん。」鼻くそをほじりながらコントンボリは身を反らせた。

« 第三章 黄泉からの帰還 No.51 | トップページ | 第三章 黄泉からの帰還 No.53 »

天頂の惑星外伝 大賢者」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第三章 黄泉からの帰還 No.52:

« 第三章 黄泉からの帰還 No.51 | トップページ | 第三章 黄泉からの帰還 No.53 »