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2012年9月 2日 (日)

第三章 黄泉からの帰還 No.53

「立つ鳥跡を濁さず、と言うのが俺は好きなんだがなあ…。」ジョロボはニヤリとつぶやいた。

 白い巨象はぐんぐんと湖に近づいていった。象の背から見渡す広大な無数のさざなみは、ますますその軌跡を複雑に輝かせていた。
 「この湖は阿頼耶識そのものだ。いわば集合無意識と言うものに近い。黄泉に行くには、この湖を渡らねばならないのだ君たちは!」コントンボリは勿体をつけた態度で湖を指差した。
 「渡ればいいのならさっさと渡りましょう。」アサビコが言った。
 「アサビコ君!世の中はそう簡単なものではないのだよ!だから阿頼耶識と言っただろう?分かる?その意味の深さに謙虚になりなさい。いのちの奥深い働きなのだよ、そう簡単には渡れないぞ。」
 No.54
 そう言うと、コントンボリはふわりと浮かび湖上を滑空した。
 湖はざわめき立ち、プロミネンス状の何かが昇り上ると、コントンボリを探ってはまた下に落ちた。 
 ちょうど、発光した空の高みを飛行していた渡り鳥の一団が湖にさしかかると、湖は
生き物の様相を帯びた。化け物の様な巨大なプロミネンス集団が、渡り鳥を真似た形態を模写して遊んでいたかと思うと、またたくまに引きずり込んでしまった。
 「阿頼耶識とはまた何としたものだ!死者の無意識ならこれほど始末に負えんものはない。溺れるものは藁をも縋るという…。つまり不用意にゆけば必ず引き込まれる。」
 長老はしばし頭をかかえた。
  阿頼耶識は自分で考えることをしない。探りのプロミネンスには二つの意味がある。遊びと謎掛けだ。愉快だとそのまま沈むことはないが、無視したり、答えられないと即座に呑み込まれて二度と戻れないのだ…。
 そのとき、アサビコの手の中に握り締めたお守り袋が突然に唸りをあげた。

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