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2012年10月

2012年10月31日 (水)

第六章 五万年紀 No.83

AMANA

No.83

宿命の地ブラックボルタの地を踏むアマナは絶命の間際にいた…。

姉弟で異国の人買いに攫われ、弟アサビコをかばう中アマナは宿命の窮地を逃げ延びたが、ふたたび捕われ異国の苦界に叩き売られた…。

その東洋風な器量と品の良さから、また売られ、ついには白人豪商に地中海のアレキサンドリア港まではるばる連れてこられた。

豪商はふたたび王族の慰み者としてひときわ高く売り飛ばすつもりでいたが、豪商の甥の宣教師が一目でアマナに引かれ、監禁の隙を見て夜陰に乗じ強奪した。

風雪の宿命を生きるアマナは、宣教師の男ともに追っ手を逃れ、遠くブラックボルタの奥地に入った…。ところがそこで梅毒と思われる病に侵され、その美貌は無惨にも変貌し、視力もまったく覚束ないものとなってしまった。

それを苦々しく思った宣教師の男は、アマナの病を恐れ、村から離れたひと際大きなバオバブの巨木のウロに病に伏した瀕死のアマナを投げ捨てると、そうそうに帰国してしまった…。

それから三日、アマナの苦難の命はこれで終わるのかと思われた…。

驚くべきことに、死をすぐ目前にしたうつつのアマナに思いもかけない奇蹟が訪れた!

第六章 五万年紀 No.82

第六章 五万年紀 No.82

アマナの目にすべての事は見えていた…。アサビコの黄泉からの帰還が頓挫したこと、なぜワニ神の子の魂を救えないかが…。

 

自分たちのすべては『秘刀松王丸』に端を発するのである!下総の一宮香取神宮に笠屋犬之介、那緒、により奉納された一振りの刀から…!

さらに見渡せば、ゼンザイこと善財童子の千年の因果。その兄に当たる犬日子の、竜宮の瀬瑠璃姫との、道ならぬ運命の逃亡から起因する何もかもが!

他人の不幸は己が事であった!

アマナの目は閉ざされていた。この白昼の現実は何ものも見ることは出来ない…。

自分が何者であるのかもあやしい記憶の中、しかしその視力は驚くべきも、遠く五万年紀の因果までをも見通していたのだ!

2012年10月28日 (日)

第五章 ジョロボのザイロフォン世界 No.81 

No.81

「おおっ?たまたま、とびきり極上のベルギー製チョコがポケットに有るぞ!なんという好都合…、それ!コントンボリ、今すぐ頼むぞ。」テスラ博士はコントンボリの掌に内ポケットのキラキラと光る銀の包みを載せた。

「むっ?!なんという良きタイミングなのだ!君は果報者だ!しかと聞き届けようぞ!」瞬間にコントンボリの姿が光った。

「むちゃくちゃだな…。」テスラ博士が小声でつぶやくと、天地が裂け、突然の落雷とともに空間が一変した!

ジョロボは、既に或る景色を目の前にしていた…。左手は右手のメロディをすり抜け、重なるごとくに勝手に千変万化し、左右の次元が入れ子のフラクタルに多層化していった…。ビーターが最も左側の鍵盤に一撃を食らわすと、誰の目にも位相の扉が開き目の前に開けてくるものがあった。

「このジョロボとの同期がどうしても信じられん…!時空概念の先端にジョロボの木琴演奏がどう有効なのか?」テスラ博士は自分の周りの変化に気づかずにいた

2012年10月17日 (水)

第五章 ジョロボのザイロフォン世界 No.80

No.80

そこに突如、煌めくほうき星に乗ってコントンボリが現れた。「やあ、諸君またお会いできてうれしいぞ。」

「コントンボリ!?君も位相を自由に横断できる者なのか!」テスラ博士が言った。

「ばかを言え、俺さまはボーリの眷属である言わば神だ!位相ごときものを自由に超えるのは朝飯前のことよ!何処に行くのも俺さまは自由自在なのよ。」コントンボリは長身痩躯の身をそっくり反え返らせて言った。

「おお!それでは、サラガウラの長老と白い象の船を、黄泉からここへ連れ戻すことが出来るじゃろう?われらはまだ旅を続けなければならん…。呼んでくれ!すぐにがいい。」メスーゼラがそう言うが早いか、聞いていたジョロボは木琴にビーターを振り下ろし演奏を始めた。

「おいおい!ちょっと待て!なんて神への畏敬の足りん連中なのだ!こういう場合はたんまりお賽銭でもあげて祈ってから、慎重に願い事でもなんでも恐々打ち明けるものだ。

…俺さまの場合、懐の持ち合わせが無ければベルギー製極上チョコレートでも良いぞ!」コントンボリはすっくと立ち、仰け反って、出した手を催促するように細かに振った。

2012年10月10日 (水)

第五章 ジョロボのザイロフォン世界 No.79

No.79

「ジョロボくん、位相に対する自由度はわれわれには無いのかね?」テスラ博士が天に向かい問いかけるように言った。

「在るとも言えるし、無いとも言える。」ジョロボが目をむき笑いながら答えた。

「いい加減なものさ!そのときの塩梅でまったくどうにもできない。方向音痴の鳥になることもあるが、だが大きい意味で自由ははほぼ間違いは無いのだ。弾く俺もザイロフォンを踊るもの次第よ。」

「自由は精霊側に在るのか?だが、位相を、ジョロボ、君の木琴がコントロールできることも確かだ?」テスラ博士はかたく目を閉じ上を向いて言った。

「人間をそうはっきり分離させ、世の中から引き離すことに無理が有るのじゃよ、ははは。」メスーゼラの喋りは、夜の冷気を吸い込んで星空にばらまくごとくに、テスラ博士には見えた。

メスーゼラは宇宙の中で数少ない、自分の存在を自ずからまともに見いだしている者なのだ。

2012年10月 1日 (月)

第五章 ジョロボのザイロフォン世界 No.78

No.78

東欧の鉛色の空にみぞれが落ちて周りに誰もいなかった。その鳥は翼が引きちぎられていたが、その一点の曇りもない目はテスラを直視した。するとその視線に自分の中の何かが変容するのが感じられた。ハヤブサを抱きかかえると自分の小さな腕の中でハヤブサは死んだ…。

およそ茫洋とした海の記憶の中のごとくに漂っていた幼い心は、それからというもの、矢をつがえた弓のように、強くはっきりとした何者かが潜む者となった…。

「私はハヤブサを踊る者か…。物理学者としては、そのまま信じるわけにはいかないが、私を確かに導いている者がいる。それはあの一点の曇りもない視線だがね」

テスラ博士の背後に大きな翼のようなものが広がるのがジョロボには見えた。

テスラ博士の精霊

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