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2013年2月

2013年2月27日 (水)

第六章 五万年紀 No.91

No.91
曲調が変わると、輪は一列に変じ、全体がうねり始めた。男も女も入り交じり、物凄く速い足踏みと肩甲骨を羽ばたかせるダンスは、闇を飛翔する蝙蝠の群れを思わせた。月光に照らされ、男も女も大地に列をなして滑空を始め、そのうねりは、見たこともない一つの巨大な動物のように見えた。土の精霊達は大声で呪文を唱え、何者かの出現を願った。すると厳かに、天頂が音もなくゆっくりと裂け、雲に乗った一団が一瞬に降下してきた。
それを見上げて、土の精霊どもは度肝を抜かれ一斉に叫んだ。
「げげ、ボープラ様!?」
黒土の精霊が驚嘆の声を張り上げた。
「何ということじゃ!我らの予想は裏切られ、ボープラ様が応じられたぞ…! えらいことになった、どうなるか予想もできん。五万年ぶりのとんでもない事じゃわい!」
「わしら土の精霊は古い出来事もよく覚えておる!」

2013年2月25日 (月)

第六章 五万年紀 No.90

No.90
女達の亡くなった亭主の一人、冥府から戻った顔の半面が腐乱した男は、「豹も嫌がる男」と言われていた。
左頬に三本の傷が深くある。男は豹の顔のようにも見えた。
「あんた〜!?ああっ、あんたなの?」
まるで魂が抜かれたでく人形のように、男達は無表情でゾロゾロと女達に近づいて来た。
女達は木琴に合わせ、死に物狂いのダンスを始めた。
激しく揺さぶる腰と足の動きが極限に達すると、上半身が安定し、恍惚の表情で全身が地を滑り出した。
バラバラと、皆して木琴を取り囲むように、ダンスは有機的な輪になった。
その輪に近づくにつれ、男達の表情に突然生気が戻ってきた。
まさに冥界の一線を越えたかのように男達も皆踊りだした。
「おお、お前、今帰ったよ。」
「ああ、あんた!」

2013年2月 4日 (月)

第六章 五万年紀 No.89


No.89

身の丈三メートル程の、泥で出来た男達がばらばらっと広場に走り出ると、のっぺらした顔のない顔でその一人が怒鳴った。

「わしらは土の精霊だ。赤土、黒土、黄土、うち揃っての登場だ!今、冥府の門番が一夜のみ人質を解放した!さあ歓迎のセレモニーだ、踊れ!踊れ!」そう大声で怒鳴ると、激しく脚を蹴りダンスが始まった。

ザイロフォン・ジョロボの叩く大型の木琴に同調した奇妙な見たこともない激しいダンスは、ユマ達の目を見張らせた。

「ワハハハ、土塊のダンスを見るのは初めてか?どーだ、面白いだろう?」赤土が、クルクルとコマのように水平に回り、ピタリと止まると、ユマに言った。

「それ、村の入り口を見ろ、冥府の道程を貴様らの亭主共がやって来たぞ!ダンスの準備だ!ダンスが無ければ此処にこられまい!」黒土が叫んだ。

女達が揃って月明かりの入り口を振り返った。

ゾンビの集団のような、ギクシャクとした影どもが村の入り口にゾロリとやって来た。男達の引きずる凄まじい何ものとも分からぬ音は、まさに冥界の帰還者に違いなかった。

「あーっ?帰って来た!」女達が叫びにちかい声を張り上げた。

「ダンスだ!ダンスを踊れ!さもないと亭主は腐った骸に逆戻りだぞ!」黄土が手足を振り上げ、地鳴りのような大声で怒鳴った。

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