フォト
無料ブログはココログ

« 第七章 信じようと信じまいと No.103 | トップページ | 第七章 信じようと信じまいと No.105 »

2013年6月 9日 (日)

第七章 信じようと信じまいと No.104

No.104
「シギよ、いよいよ滝に出たな!」
松風大人は、後を歩く供の鴫童子に言った。
ふと、天空を降り仰ぐと、遠くに瑞雲が渦を巻いた。

「あの左手に見えるものは何でしょう?私には、こちらも命本来の滝に見えます。二つの滝が出会っています!」
こちらにも、負けず劣らずの滝が、豪快に白い房のような水塊を無数に落下させていた。滝の合間からは、濃緑の水柱が柔らかさを秘めて巨大に立ち上がっている。軽やかに滑ってくる泡沫の、幾千万の鈴音は鳴り止まず、かえって、辺りを深々と神秘の無音にさせていた。

「ほう!これは…。ますます驚きじゃ!滝は二つ在る。」
松風大人は、呆然と其処に立ち、口から細く気を解き放った。
大人と童子の来た深山幽谷は、そこで深い霧を抜けると一気に開けた…。中空には、幾多の磐上をほとばしる飛沫に、壮大な虹が掛かっていた。
松風大人は、しばし天空を仰いで望気して言った。
「ぷふぅ〜、やはりここは清々な気に充ちておる。しかし、誰も来ぬここまで、細々と切り拓かれた道が在るとは、まったく不可解なことじゃ…。」
細い石段は、両方の滝のいちばん良く見える東屋まで、整然と巌の洞門を抜け続いていた。
「シギよ、彼処の東屋で一休みだ。」

« 第七章 信じようと信じまいと No.103 | トップページ | 第七章 信じようと信じまいと No.105 »

天頂の惑星外伝 大賢者」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 第七章 信じようと信じまいと No.103 | トップページ | 第七章 信じようと信じまいと No.105 »