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2013年6月16日 (日)

第七章 信じようと信じまいと No.105

No.105
其処は、二つの滝を一望できる絶好の位置にあった。
東屋前の大岩には、ごく小さな祠が載っていた。
中にはべったりと「延命冠者」と書かれた札が張り付いていた。

「此処にこの様な祠が?」
シギは首をひねった。
「うぬ、おもしろい奴が此処にはおるようじゃ…。」
「延命冠者とは?」
松風大人は祠を覗き込んで札をしげしげと見た。
「…?はて。」
すると、其処から笑い声がした。
「むふ、ふ、ふ、…よくここに来たな。」
祠の声が滝の音に交じり木霊した。
「誰だ?」松風大人は祠に問い返した。
「俺は、白い滝所縁の番人、延命冠者だ。」
祠から張りのある甲高い声がした。
「すると、おぬし呪術師か。」シギが声をあげた。
「おう!小僧分かるか。」
「俺のは白呪術だ。俺との勝負に勝てば、場合に寄っては貴公らの魂の延命をいたそう。」
松風大人とシギの前に、笑みを浮かべた若い男が忽然と現れて言った。
「勝負?なんの勝負だ?」シギが言った。
「とぼけるな、呪師の勝負だ。貴公らもここまで来るからには呪術師であろう?」
「いや、大人は高徳の主、呪術なら私がお相手しよう!私は鴫童子と云う者だ。」
「貴公はまだ童子だが、まあよい。魂は良質そうだ…。
しかし俺に負けたら、この様に、貴公らの魂を貰うぞ。」
ぬらりと、延命冠者の背の襟から人魂が二三飛び出し頭上を浮遊した。

「生きた良質の魂を食せば二千年延命できる。どのみち人の一生は、しごく短い。
正直、何かするなどの余裕すら無い。何もせぬうちに死ぬのは怖いだろう?」
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