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2013年6月23日 (日)

第七章 信じようと信じまいと No.106

No.106
「どのような風前の灯の魂にも延命の策はある。ここに来る者は、魂の終わる者だが、命に未練が有るなら、人の魂を食せばよい。それでは呪師走りの儀で勝負だ。」延命冠者の甲高い声が木霊した。
「まてまて、わしには未練はない。」
「いや、あるはずだ。貴公、それで終わっていいわけが無い。」
「お節介な。」
「ここに来るからには、貴公らの短い一生もすでに終わろうとしているのだぞ?成し遂げれぬことがあるだろう?」
「初めがあれば終わりもある。成し遂げるなどこだわらずとも、事は自ずからになるものだ。」
そうそうと松風大人はそこを立ち去ろうとした。

「こいつは、手ごわい術を使ってきたな。」
そう言うと、やおら延命冠者は何気なく小走りに近づき、鴫童子の背に手を突っ込み、ひょいと魂を抜き取ってしまった。
「さあ、貴公どうする?これはまずは、人質ということだ。良質の魂などは、そうそうに無いからな、かかか。ここから先には行けぬぞ。」

「死の番人とは、どうして、とんでもない無頼漢だな。」
尻尾を延命冠者に握られた魂は、ふわりふわりと浮遊した。
「死に、作法など無い。」そう言うと襟元から背に魂を押し込めた。
「それでは仕方ない、お望みのお相手いたそうか…。」声の終わらぬうちに、松風大人はそこから音もなく消えた。

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