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2013年6月30日 (日)

第七章 信じようと信じまいと No.107

No.107
二つの滝から発する轟音は互いに打ち消し合い、無とも思われる静寂が生じた。
「む、どこに消えた?」延命冠者は周りを見渡したがまったく何の気配もない。すると、突然に後ろから襟を掴まれた。
「延命冠者殿、実はわしも、多少の無頼漢でな、この人魂、貰うぞ。」
声と同時に、温存していた三つの人魂も、シギの魂と共に延命冠者の背から引き抜かれ、ぬらりと宙に浮かび出た。
「死に作法など無いのなら、ついでに、おぬしの魂も抜いておくか?」松風大人は延命冠者に顔を引っ付け笑った。
「ふざけるな!きさま、何者だ?!」
「さまよえるただの年寄りだよ。少しく悪漢だがな…。」
松風大人は延命冠者を、後ろ手におもいっきりねじ上げた。
「いのちの諸相を舐めて掛かるととんでもないぞ!」
とん、と押すと、そのままねじ上げられた腕は延命冠者の背に張り付いてしまった。
「いたたた、俺に…、こんなことをすれば、きさま、ただでは済まんぞ!あたた…。」
延命冠者は堪えきれず大声を上げた。

突然に滝の轟音が戻った。
「大人!?…私はどうしていたのでしょう?」鴫童子が息を吹き返した。
「おお、シギよ、戻ったか。」
「今しがた、不思議な夢をみていました。」

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